蓮如上人物語 〜燎原の火の如く〜
蓮如上人物語(エピソード編)
第17回 宿を断った重兵衛
蓮如上人が、吉崎から布教に出られた帰路、ちょうど、越前国安原村(福井市安原町)の辺りで日が暮れてしまった。宿を借りようにも人家が見当たらない。
夜が更けてから、やっと明かりのついた家が見えてきた。
「旅の者ですが、宿がなくて難儀しております。片隅にでも泊めていただくわけにはまいりませんか」
奥から出てきた男は、いかにも意地悪そうで、名を重兵衛という。一行の姿を見るなり、
「なんだ、クソ坊主どもか。けがらわしい。おれは坊主が大嫌いなんだ」
と罵り、ぴしゃりと戸を閉めてしまった。
しかたなく、蓮如上人は、作業小屋の軒下で一夜を明かされた。
そして翌朝……。

燎原の火の如く 〜蓮如上人物語〜