蓮如上人物語 〜燎原の火の如く〜
蓮如上人物語(エピソード編)
第16回 吉崎御坊の多屋
吉崎御坊が建立されると、周辺は急速に変貌した。文明5年8月2日の帖外御文に、次のように記されている。
「頂上を引くずして屋敷となして、一閣を建立すときこえしが、幾程なくして打つづき加賀、越中、越前の三ケ国の内の、かの門徒の面々よりあいて、多屋と号して、いらかをならべて家をつくりしほどに、今ははや、一、二百間の棟かずもありぬらん、とぞおぼえけり」
多屋(他屋)とは、お弟子や末寺の出張所と門徒の宿泊所を兼ねた建物である。
古絵図によると、御坊の門内には、蓮如上人の有力なお弟子、空善房、法敬房、本覚房などの多屋九坊が描かれている。
門外には、加賀、越中、越前をはじめ、各国の末寺の多屋が多く書かれている。多屋を管理する僧の妻は内方と呼ばれ、参詣者の宿泊の世話に当たっていた。
次第に、多くの門徒や商人が吉崎へ移住して家を構えるようになり、わずか二年余りの間に、200軒近い多屋や民家が軒を並べるようになったという。

燎原の火の如く 〜蓮如上人物語〜